「知」の結集 ゆびすいコラム

2025.10.21

社員の資格取得の補助は給与課税?

 弊社では福利厚生制度の一つに、税理士資格など一定の資格取得のためにかかる費用を会社が半額負担する制度があります。筆者としても資格取得に係る費用は金額も大きくなるため、ありがたい制度です。

 人材不足が問題となっている現代社会では、社員の教育の重要性が高まっているため、資格取得支援制度を福利厚生に含める会社は増えているのではないでしょうか。
 ここで注意していただきたいのはこの費用の税務上の取り扱いです。
所得税基本通達36-29の2より
「使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない。」
 通達によりますと、職務に必要な資格取得に対しての補助として支給した場合には給与課税とならず、源泉徴収の必要もありません。これには資格取得のためだけでなく、業務に必要なセミナーの出席に係る費用も含まれています。また、これらの費用は研修費として処理することができます。
 では、業務上必要のない、社員の自己啓発としての資格取得への補助はどうでしょうか。
結論としましては、職務に直接的に関連のない費用については給与として扱われ課税されます。
そのため、会社には源泉徴収および源泉所得税の納付義務が生じます。
また、役員に対して支払った場合には届出を出していない役員報酬として扱われ、税務上損金にも算入できなくなる可能性もあります。
  資格取得支援制度は人材確保の手段として活用できる反面、給与課税とされてしまうと事務的負担も増大します。メリット、デメリットを考慮のうえ、自社に合った制度を導入するようにしてください。
堺事業部 堤
税金