2026.04.22
5年後、10年後も事業を継続し、職員と利用者を守れるのか、その責任を果たすために、「長期的な経営視点」は重要です。
5年~10年、それ以上のスパンで法人が目指すべき将来像(ビジョン)や基本的な方針、達成目標を定める計画を「長期経営計画」といいます。長期経営計画は大規模法人だけのものと思われがちですが、実際には規模に関わらず、すべての事業所にとって必要なものです。長期経営計画の本質は「将来も安定してサービスを提供し続けるために、何を準備しておくべきか」を明確にすることにあります。
経営計画の狙いは、事業継続に必要となる収入・費用構造を明確化し、実行すべき取り組みを整理することです。その基本構造は「設備計画」「資金計画」「利益計画」の3つで成り立っています。
まず「設備計画」では、将来の建替えや大規模修繕といった大きな支出や、ICT導入などの設備投資について、いつ、どの程度の費用が必要になるかの見通しを立てます。これらは長期的な事業継続の基盤となるものです。
次に「資金計画」では、設備計画に基づいた長期的な資金準備と、日々の運営に必要な運転資金を確保する短期的な視点の両面から設計を行います。現状のキャッシュと必要額との差を把握した上で、計画的に資金を積み上げていく道筋を明確にします。
最後に「利益計画」では、こうした設備・資金の前提を踏まえ、将来にわたって事業継続に必要な利益水準を明確にします。利用率や人員配置などを複数のシナリオで試算し、環境変化に対応可能なしなやかな収支構造を設計していきます。
長期経営計画をつくる過程では、自法人の価値観や目指す方向性を言語化することにもつながります。「どのような介護を提供したいのか」「地域にとってどんな存在でありたいのか」といった問いに向き合うことで、職員の共通理解が生まれ、組織の一体感も高まります。
不確実な時代だからこそ、未来を完全に予測することはできません。しかし、備えない理由にはなりません。むしろ変化に対応できる“しなやかな計画”を持つことが、これからの介護経営には求められます。
株式会社ゆびすいコンサルティング 医療介護専門部
