2026.06.01
近年、自社でセキュリティ対策を行っていても、取引先や委託先を起点としたサイバー攻撃によって被害が発生する事例が増えています。こうした背景を受けて新たに始まるのが、「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度」(以下、SCS評価制度)です。
SCS評価制度は、企業のセキュリティ対策状況を共通の基準で可視化し、取引先との間で「どの水準まで対策すればよいのか」を、過不足なくすり合わせやすくすることを目的としています。
このような制度の位置付けから、任意の制度ではありますが、業種・規模を問わず、取引先から自社の対策状況について説明を求められる機会が増える可能性があります。今のうちから、できる範囲で対策を進めておくと安心です。
なお、この制度と関連する取り組みとして、IPA(情報処理推進機構)が運営する「SECURITY ACTION」があります。評価段階としては、★1・★2が「SECURITY ACTION」、★3~★5が「SCS評価制度」に位置付けられています。
SCS評価制度は、商取引を規制するための制度ではなく任意の制度です。制度を引き合いに「評価がないと取引ができない」「入札から除外される」といった不適切な勧誘が報告されており、経済産業省も注意喚起しています。また、評価基準を満たすうえでツール導入が有効になる場合はありますが、特定の製品の利用が必須とされているわけではありません。
一方で、SECURITY ACTIONは、補助金・支援制度の要件になる場合があります。たとえば「デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)」では、申請要件としてSECURITY ACTION(★一つ星または★★二つ星)の宣言が求められています。制度の性質を正しく理解したうえで、段階的に対策を進めていくことが重要です。
SCS評価制度の実質的な評価段階は、主に★3と★4で整理されています。
★3は「まず会社として最低限の守りを整える」、★4は「事故が起きても広げない」と考えると分かりやすいでしょう。
また、★3は「自己評価+専門家による確認」という方式、★4は第三者評価が必要となります。
※なお、★5については現時点では詳細はまだ整備・公開されておりません。
では、何から始めればよいのでしょうか。
まず取り組みやすいポイントを、チェックリスト形式でまとめました。
IPAは、SCS評価制度の★3・★4取得の準備段階として「SECURITY ACTION」から始めることを推奨しています。必須ではありませんが、最初の一歩として有効です。
https://www.ipa.go.jp/security/security-action/sa/
社内PC、サーバー、NAS、クラウド、メール、VPN、外部委託先が触れる環境を一覧化し、「誰が使うか」「止まると何が困るか」を書き出します。制度対象は主にIT基盤なので、ここが出発点となります。
「誰が責任を持つのか」「誰が窓口になるのか」が曖昧だと対策は進みません。情シス専任がいなくても、責任者と窓口担当は決めておくことが重要です。
退職者アカウントや共有ID、不要な管理者権限が残っていないかを確認します。まずは「今だれが何にアクセスできるか」を見える化します。
メール、クラウドストレージ、管理画面、リモートアクセスなど、重要な入口から順に多要素認証を有効化します。Microsoft 365やGoogleワークスペースなど、最近は多くの製品で設定可能になっています。設定を一度見直してみましょう。
バックアップがあるだけでは不十分です。実際に復元できるか、小さくてもテストをしておくことが重要です。
「何かあったら誰に言うか」が決まっていないと初動が遅れます。社内連絡先と、必要なら外部相談先をまとめて周知しておきましょう。
どの会社がどの情報・システムに触れるのか、契約上の責任分担や連絡ルールを整理します。
ゼロから作成する必要はありません。「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」や付録のサンプルを土台に進めるのがおすすめです。
https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html
専門家からの支援策も整備されています。すべてを内製しようとせず、活用できる支援を前提に進めた方が現実的です。
少し取っつきにくく感じる部分もあるかもしれませんが、この機会に一度、自社のセキュリティ対策を見直してみてはいかがでしょうか。
なお、弊社ではITサポートやセキュリティ対策のご相談を承っております。ご不明点や気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
https://www.meti.go.jp/press/2025/03/20260327001/20260327001.html
https://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/20260427_scs.html
株式会社ゆびすい会計システム システム開発室 システムインテグレーション
