「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.07.03

「課税の繰り延べ」 について

節税の話でよく用いられる言葉に、「課税の繰り延べ」があります。

 

課税の繰り延べとは

課税の繰り延べとは、制度や取引の選択によって、現在課税される所得や利益の一部を将来の課税へ移すことをいいます。

例えば、一定の保険商品や共済制度などを活用して課税時期を将来へ移す場合がこれにあたります。代表的な例としては、経営セーフティ共済(倒産防止共済)が挙げられます。


課税繰り延べの注意点

課税の繰り延べは、納税時期を将来へ移す効果がありますが、制度によっては掛金などの支出を伴うため、必ずしも手元資金が増えるわけではありません

また、税金そのものをなくす制度でもなく、最終的には出口の段階で課税されるのが基本です。そのため、単に課税を繰り延べるだけでは長期的な税負担が軽くなるとは限らず、解約や受取りのタイミングによっては利益や所得が大きくなり、かえって税負担が重くなることもあります。

 

出口戦略

そこで重要になるのが「出口戦略」です。出口戦略とは、将来どのタイミングで、どのような形で課税が発生するのかをあらかじめ想定し、その税負担をどのようにコントロールするかを考えることです。

課税を先送りするだけで終わらせるのではなく、将来の所得状況や適用される税率、役員退職金の支給、設備投資、赤字が見込まれる時期などを踏まえ、最終的な税負担を抑えるよう設計することが重要です。

例えば、利益が大きく出ている年度に経営セーフティ共済(倒産防止共済)の掛金を損金計上した場合でも、将来解約すれば解約手当金は益金となります。何も考えずに解約すると、その年度の利益が大きくなり、税負担が増える可能性があります。

一方で、役員退職金の支給や大きな設備投資、多額の修繕費の発生、赤字が見込まれる年度などに解約時期を合わせれば、解約手当金による益金と費用や損失を相殺できる場合があります。

また、利益が多い時期に課税を繰り延べ、将来、所得水準の低下などにより適用税率が低くなるタイミングで所得化できれば、結果として最終的な税負担を抑えられる可能性もあります。

したがって、課税の繰り延べを検討する際には、目先の納税額だけで判断してはいけません。
「いつ課税されるのか」「その時点でどのような所得や費用が見込まれるのか」「出口で税負担を抑える方法はあるのか」といった点まで見据えることが重要です。

課税の繰り延べは、それ自体が節税になるわけではありません。出口戦略まで含めて計画的に活用することで、その効果を最大限に活かすことができます。

 

税理士法人ゆびすい 堺事業部

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