「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.07.27

インボイスの経過措置、令和8年10月からどう変わる?社会福祉事業向け注意点

インボイス制度の開始から間もなく3年を迎え、免税事業者などからの仕入れに適用される経過措置の控除割合が、令和8年10月1日から現在の80%から70%へ引き下げられます

これまでと同じ請求書・会計処理のままでは、仕入税額控除の計算を誤る可能性があります。控除割合が初めて変更されるこのタイミングに、経過措置の内容や取引先の登録状況、会計処理を改めて確認しておきましょう。

インボイス制度では、原則として、適格請求書発行事業者以外の事業者から行った課税仕入れについて仕入税額控除を受けることができません。ただし、制度開始後の負担を緩和するため、一定割合を控除できる経過措置が設けられています。
現在は仕入税額相当額の80%を控除できますが、令和8年10月1日から70%、令和10年10月1日から50%、令和12年10月1日から30%へと段階的に引き下げられ、令和13年10月1日以後は控除できなくなる予定です。


○社会福祉事業では、次のような取引先がインボイス発行事業者ではない場合があります。
・研修講師やセミナー講師
・音楽療法士、芸術療法士、外部カウンセラー
・嘱託医、産業医、歯科医師
・行事の演奏者、司会者、カメラマン
・清掃業者、剪定業者、害虫駆除業者
・修繕業者、電気工事業者、設備点検業者
・地域の販売店、小売業者
・送迎、配食、洗濯などの委託事業者
・ホームページ制作、デザイン、広報物の外注先
・個人経営の会場や宿泊施設
 

なお、登録番号が記載されていても、誤った番号や失効済みの番号である可能性があるため、請求書の記載だけで判断せず、公表サイトで確認することが大切です。
また、これまで免税事業者であった取引先が、新たに適格請求書発行事業者として登録している場合もあります。切替のタイミングに合わせて、請求書に登録番号が記載されているか改めて確認しましょう。

(税込3万円未満の自動販売機による購入は「自動販売機特例」の対象となり、インボイスの保存は不要です。ただし、帳簿に「自販機」など、特例の対象であることを記載する必要があります。)

 
○切り替え時のポイントは?
令和8年10月1日をまたぐ取引については、請求書の発行日や代金の支払日ではなく、原則として商品を購入した日やサービスの提供を受けた日を基準に、80%控除または70%控除のいずれを適用するか判断します。

例えば、9月に提供を受けたサービスについて10月に請求書が届き、10月に支払った場合でも、原則として80%控除の対象となります。一方、10月に提供を受けたサービスは、請求書や支払いが11月以降であっても70%控除の対象です。
また、1枚の請求書に9月分と10月分の取引がまとめて記載されている場合は、請求書全体を一律に処理せず、取引日や利用期間に応じて80%控除分と70%控除分に分けて処理する必要があります。

月額の業務委託料、保守料、清掃料、給食材料費など、月をまたいで請求される取引については、対象期間を確認したうえで税区分を設定しましょう。会計ソフトの税区分が自動で切り替わるかどうかも事前に確認し、令和8年10月以降も旧税区分のまま入力しないよう注意が必要です。

令和8年10月に向けて、取引先のインボイス登録状況、会計ソフトの税区分、切替のタイミングを改めて確認しておきましょう。
 

税理士法人ゆびすい 医療介護専門部

教育・福祉・医業