「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.08.04

基本金を組み入れたのに、なぜ減価償却するの?【学校法人】

 ~学校法人会計における基本金組入額と減価償却額の考え方~

学校法人では、校舎や園舎、備品などの固定資産を取得した場合、決算において第1号基本金への組入れを行います。
一方で、その固定資産については耐用年数にわたって減価償却額を計上します。
 
このため、「基本金を組み入れているにもかかわらず、なぜ減価償却も行うのか?」と疑問を持たれることがあります。
 
第1号基本金への組入れ減価償却は、それぞれ異なる目的をもつ会計処理であり、両方の処理が必要となります。
 
 
例えば、教育用として30万円のパソコンを購入し、耐用年数を5年とした場合を考えてみます。
取得した年度には、取得価額30万円について第1号基本金への組入れを行います。

【第1号基本金組入れ】
 (借方)  
  基本金組入額 300,000円
    (貸方)  
     第1号基本金 300,000円

その後は、パソコンを教育・保育活動で使用する期間にわたり、毎年度6万円ずつ減価償却額を計上します。

【減価償却】
 (借方)  
  減価償却額 60,000円
    (貸方)  
     減価償却累計額 60,000円

第1号基本金への組入れは、学校法人がその活動に必要な資産を継続的に維持するために、固定資産を取得した際にその取得価額に相当する額を基本金として組み入れる処理です。
学校法人会計では、固定資産の取得に充てられた財源を、その固定資産を再取得し継続的な学校法人の活動を維持するためにも、自由に使える余剰として扱うべきではないと考えられています。
そのため、基本金を組み入れることで、固定資産を取得するための財源を翌年度繰越収支差額から控除しています。

一方、減価償却額は、固定資産の価値の減少を、その使用期間に応じて各年度へ配分するための費用です。
仮に減価償却を行わなければ、30万円のパソコンを5年間使用していても、取得年度以外には費用が計上されず、各年度の事業活動の実態を適切に表すことができません。
このため、学校法人会計においても、固定資産の使用実態を各年度の事業活動収支へ適切に反映するため、減価償却を行います。

このように、第1号基本金への組入れと減価償却額は、同じ固定資産に関する会計処理ですが、その目的は異なります。
基本金組入額減価償却額、それぞれの役割を理解することで、学校法人会計への理解もより深まるのではないでしょうか。
 

税理士法人ゆびすい 福岡支店

教育・福祉事業