「知」の結集 ゆびすいコラム

2026.08.19

設備投資がある場合に確認しておきたい「中小企業投資促進税制」について

中小企業が活用できる税制には、さまざまなものがあります。
今回はその中から、「中小企業投資促進税制」についてご紹介します。

1.中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制とは、青色申告書を提出する中小企業者等が、機械装置や一定の工具、ソフトウェアなどの対象設備を取得し、国内にある指定事業の用に供した場合に、一定の税制上の優遇を受けることができる制度です。
要件を満たした場合には、次のいずれかを選択して適用することができます。

・基準取得価額の30%の特別償却
・基準取得価額の7%の税額控除
 

2.制度を利用するための主な要件

(1)適用対象法人
制度の適用を受けるためには、主に次の要件を満たす必要があります。

・青色申告書を提出していること
・資本金の額または出資金の額が1億円以下など、「中小企業者等」に該当すること
・税額控除を選択する場合には、資本金の額または出資金の額が3,000万円以下の「特定中小企業者等」に該当すること

なお、資本金が1億円以下であれば必ず制度の対象になるわけではなく、発行済株式総数の1/2以上を大規模法人に所有されるなど一定の場合は対象外となるため、注意が必要です。

※大規模法人と大法人
大規模法人とは
1 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人
2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
3 大法人との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
4 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。)および出資の全部をそのすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(上記3に掲げる法人を除きます。)

大法人とは
1 資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人
2 相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
3 受託法人

(2)対象となる資産
主な対象資産には次のようなものがあります。

・機械および装置
1台または1基の取得価額が160万円以上のもの

・測定工具および検査工具
1台または1基の取得価額が120万円以上のもの
なお、1台または1基の取得価額が40万円以上で、かつ、その事業年度に取得した対象工具の取得価額の合計額が120万円以上となる場合も対象となります。

・ソフトウェア
一のソフトウェアの取得価額が70万円以上のもの、または、その事業年度において事業の用に供したソフトウェアの取得価額の合計額が70万円以上のもの
ただし、複写して販売するための原本、開発研究用のもの、一定のサーバー用オペレーティングシステムなど、対象外となるものがあります。

・車両および運搬具
一定の普通自動車で、貨物の運送の用に供されるもののうち車両総重量が3.5トン以上のもの

・船舶
内航海運業の用に供される船舶

このように、設備を購入すればすべて制度の対象になるわけではなく、資産の種類や取得価額などを確認する必要があります。

(3)取得・事業供用に関する主な要件
対象資産については、主に次の点にも注意が必要です。

・新品の資産を取得または製作すること
・国内にある指定事業の用に供すること
・原則として、貸付けの用に供する資産ではないこと
など

 

3.「特別償却」と「税額控除」の違い

中小企業投資促進税制では、「特別償却」と「税額控除」のいずれかを選択します。

・特別償却
基準取得価額の30%相当額を、通常の減価償却費に加えて償却することができます。
通常よりも早い時期に多くの減価償却費を計上できるため、設備を取得した事業年度の課税所得を圧縮する効果があります。

・税額控除
基準取得価額の7%相当額を法人税額から直接控除することができます。
ただし、控除できる金額には限度があり、原則として、その事業年度の調整前法人税額の20%相当額が上限となります。
限度額を超えたことにより控除しきれなかった金額については、一定の要件のもと、翌事業年度に1年間繰り越すことができます。
 

4.どちらを選択すればよい?

税額控除は法人税額から直接控除するため、税額が十分に発生している場合には、税負担を直接軽減できる点がメリットです。
一方、特別償却は、通常の減価償却よりも早い時期に減価償却費を計上することで、設備を取得した事業年度の課税所得の圧縮し、キャッシュフローの改善が期待されます。
どちらが有利かは、当期の利益や法人税額、今後の利益見込み、資金繰りなどを踏まえて判断する必要があります。

 

5.まとめ

中小企業投資促進税制は、設備取得前に証明書を取得したり、経営力向上計画の認定を受けたりする必要はなく、設備投資を行う際に検討したい税制の一つです。

ただし、
・中小企業経営強化税制(類型に応じて証明書・確認書の取得や経営力向上計画の認定が必要)など、より大きな節税が期待できる他の設備投資税制が適用できないか
・自社が対象となる中小企業者等に該当するか
・購入予定の設備が対象資産に該当するか
・特別償却と税額控除のどちらを選択するか

など、適用にあたって確認すべきポイントがいくつかあります。

設備投資を予定しているけれど、何か使える税制はないだろうか」といった場合には、設備投資を行う前に弊社担当者までお気軽にご相談ください。

※本記事は2026年8月時点の法令に基づいています。制度の適用期限や内容は、今後の税制改正等により変更される場合があります。
 
 

税理士法人ゆびすい 大阪支店

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