「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.10.23

中小企業の回復時期

 新聞などでよく、「大企業はすでに業績回復が始まっているのに、中小企業はまだまだ厳しい。中小企業向けの経済政策が機能していない」といった言説がみられます。

 大企業と中小零細企業の格差問題は、制度の在り様を含め議論すべきことであるのは間違いないのですが、一方で経済全体からみれば、やむを得ないということもいえます。

 日本の中小企業は、ほとんどといってよいぐらい大企業の下請けです。なので、大企業の業績が回復し、その後にようやく、下請けへの発注を増やそうという動きが出てくるからです。

 さらに今回のような経済危機のような場合、国の税収が増加するのは、数年後ということになります。経済危機後に発生した繰越欠損金が、控除済みになるまでは、課税所得が発生しないという要因があるからです。

(税理士:白井一馬)