「知」の結集 ゆびすいコラム

2020.01.27

消費税「税込方式」と「税抜方式」

消費税の経理方式として、税込方式と税抜方式があります。
 
税込方式とは、売上や仕入、経費に含まれる消費税相当額を含んだ金額で経理する方式です。税抜方式とは、売上や仕入、経費に含まれる消費税相当額と本体価格を区分して経理する方法です。
 
例えば、ある商品を税込88,000円で仕入れて、税込110,000円で売ったとすると、次のようになります。
 
◆税込方式
  売上110,000円
  仕入 88,000円
 
◆税抜方式 
  売上100,000円 仮受消費税10,000円
  仕入 80,000円 仮払消費税 8,000円
 
【税抜方式の主なメリット】
① 税抜方式の方が、現状の経営状態を適正に把握することができるとされています。特に、消費税の税率が改定されたときにその傾向が強く表れます。上記の例でいいますと、税込方式の場合、消費税率が8%から10%にアップすることにより、税込108,000円の売上高が110,000円となるため、売上が伸びたように錯覚してしまいます。このメリットがあるため、上場会社をはじめとした大規模企業の多くでは、税抜方式が採用されています。
② 税金計算の上で、税抜方式の方が有利になることがあります。例えば、中小企業者の特例で、1個あたり30万円未満の資産であれば取得時に全額損金算入できる制度があるのですが、税込方式だと税込金額、税抜方式だと税抜金額で30万円判定することになっています。税抜290,000円・税込319,000円の資産であれば、税抜方式だと取得時に全額損金算入できますが、税込方式だとできないことになります。
 
【税抜方式の主なデメリット】
上記の例の通り、税抜方式だと売上と仮受消費税、仕入と仮払消費税を区分しなければならず、経理が煩雑になります。
 
消費税を納税する事業者は、税込方式と税抜方式のいずれかを、任意に選択することができます。経営者の皆様、自社の試算表が税込方式と税抜方式のいずれで作られているのか、把握されておられますでしょうか?まずはそれを把握した上で、メリットとデメリットを勘案して、自社にとってどちらが合っているかを検討してみて下さい。消費税が上がった今こそ、検討する良いタイミングだと思います。
 
大阪支店 吉田卓司
 
 
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