「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.04.28

電子取引に関する電子帳簿保存法

今回は令和5年12月31日に宥恕措置が廃止され、法人・個人事業者を問わずに義務化が始まる電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存に関してお話ししたいと思います。
 
令和3年度の税制改正により電子帳簿保存法が改正され、電子取引の取引情報に関しては紙による保存が認められなくなり、電子データによる保存のみが認められるようになりました。
 
令和5年12月31日までは宥恕措置が存在し、やむを得ない事情がある場合で、税務調査の際に出力書面の提示又は提出が可能であれば、従来通り紙による保存が認められていました。
しかし令和6年1月1日以降はこの宥恕措置が廃止され、保存要件を満たした電磁的記録による保存のみが認められることとなります。
 
保存要件の具体的な内容は、令和3年7月21日のゆびすいコラム「※中小企業必見※電子帳簿保存法の改正」をご参照いただきたいのですが、これらのうち満たすのが難しいとされているのは、タイムスタンプの付与と検索機能の確保だと思われます。
これらの要件に関しては令和5年度の税制改正により緩和措置が講じられており、タイムスタンプに関してはこれまで必要とされてきた、保存を行う者又は監督者に関する情報に関する確認要件は廃止され、検索機能に関しては税務調査時に書面の提出又は提示が可能であれば、判定期間(法人の場合は前々事業年度、個人事業者の場合は前々年)の売上高が5,000万円以下であれば検索機能に関するすべての要件が不要となります。
 
また宥恕措置は廃止されてしまいますが、保存要件の緩和により、税務署長が保存要件を満たさない場合でも相応の理由があると認める場合には、税務調査時に書面の提出又は提示等が可能であれば、紙と電子データの両方の保存により、保存要件を満たさなくても保存が認められることとなっています。
 
令和3年度税制改正による電子帳簿保存法の改正が行われた頃と比較して、様々な要件に緩和措置が講じられ、保存要件を満たすためのハードルは引き下げられてきました。
宥恕措置が廃止されるまで残り8か月ほどとなりましたので、まだ準備が出来ていない事業者の方であれば、自社にとって適切な保存方法の構築を進めてみてはいかがでしょうか。
 
堺本社 射場
 
 
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