「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.06.09

源泉所得税の納期の特例

 源泉所得税とは、給与や報酬から源泉徴収して納める所得税です。所得税は本来、申告納税であるため自身で税額を計算して納付しなければいけませんが、申告者側も税務署側も手間がかかるので、給与や報酬から所得税を源泉徴収することでそうした手間を削減することができます。
 
 源泉徴収した所得税は、原則翌月の10日までに税務署や金融機関の窓口や、スマートフォンやタブレット端末よりe-Taxを利用して納付する手続きが必要になります。
 
 この源泉所得税の支払には特例があります。給与の支払が10人未満であれば、「源泉所得税の納期の特例承認に関する届出書」を提出することで、納付回数を1月20日と7月10日期限の2回にすることができます。1月20日に7月から12月まで、7月10日に1月から6月までの源泉徴収した所得税をまとめて支払います。
 
 しかし、従業員が10名以上になると納期の特例の要件に該当しなくなるため、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」を遅滞なく提出し、毎月支払に切り替えないといけないため注意が必要です。
 
 例えば4月に従業員の人数が10名以上になって、納期の特例に該当しなくなる場合を考えてみます。
 
 毎月の納付に切り替わる場合、納期の特例の期間中に徴収されてまだ納付されていない1月~3月までの源泉所得税と、届出の提出月である4月に徴収される源泉所得税の4ヵ月分を5月10日に納付します。5月の給与の源泉所得税から毎月の納付に切り替わりますので、6月10日に5月分給与の源泉所得税を納付することになります。
 
 切り替え時の注意もありますが、源泉所得税の納付回数が年2回に減り、手間を削減できることと、現金を手元においておく期間が伸ばすことができるメリットがありますので、特例の適用をぜひご検討ください。
 
福岡支店 村田知駿
 
 
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