「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.06.29

相続があった場合のインボイス制度について

 令和5年10月以降に、相続が発生した場合のインボイス制度について、ご紹介いたします。
 
 大前提として、インボイス発行事業者の登録は事業者単位で行われ、インボイス発行事業者としての地位は相続人に引き継がれません。そのため、インボイス発行事業者である個人事業者が死亡し免税事業者である相続人が事業を承継する場合、その相続人が登録を受けるまでインボイスの発行ができません。このような場合、事業の継続に支障をきたす恐れがあることから、「みなし登録期間」が設けられています。
 
 みなし登録期間については、相続人がインボイス発行事業者とみなされるとともに、被相続人の登録番号が相続人の登録番号とみなされます。そのため、相続があった場合の判定で免税事業者となったとしても、みなし登録期間について、相続人は課税事業者として申告を行う必要があります。
 
●みなし登録期間
相続のあった日の翌日から(1)(2)のいずれか早い日までの期間
(1)相続人がインボイス登録を受けた日の前日
(2)被相続人が死亡した日の翌日から4か月を経過した日
 
 その他、インボイス発行事業者である個人事業者に相続が発生した場合、相続人が行う手続きには、以下のようなものがあります。
 
・所轄税務署長へ、「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する。
・4か月以内に相続人が登録申請書の提出を行う。
 
 特に注意すべき点は、「インボイス発行事業者の事業を相続により承継した免税事業者は、登録申請を行わない限りみなし登録期間後からインボイスを発行できない」ことです。被相続人の準確定申告書と合わせて登録申請書の提出をするなどの工夫が必要です。
 
 インボイス制度自体が複雑であり、さらに相続があった場合の取扱いを把握するのは困難です。インボイス制度や相続について、ご心配・ご興味のある方は、是非ゆびすいにご相談下さい。
 
相続専門部 田中隆文
 
 
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