「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.03.23

景気対策のウルトラC?無利子非課税国債とは

我々税理士の実務からは信じられないような?構想が現在政府で検討されています。

「無利子非課税国債」なるものを発行するというものです。

現在検討されている「無利子非課税国債」とは、本来つくはずの利息が全くつかない、その変わりにその国債に対しての相続税を非課税にしますよ、というものです。相続税の最高税率は現在50%ですので、例えば2億円でこの国債を買うことで、相続税が最大1億円減額される計算になります。

まだまだ検討段階であり、詳細は全く不明ですが、かなり思い切った政策であることは間違いありません。この不況の中でも貯蓄大国日本には、100兆円を超えるタンス預金があるとも言われています。この「眠れる民間資金」を掘り起こし、思い切った景気対策を行うための資金としようというのがその趣旨のようです。

ところで、相続税が課税されるのは相当の資産所有者のみであり、現状で課税の対象となるのは5%程度です。この5%の限られた方達は、この政策の恩恵を相当うけることができるでしょう。結果的に、高所得者優遇の減税措置、となり、果たして国民の理解を得ることができるか疑問が残ります。その国債で集めた資金の使い道を、介護などの社会保障や、中小零細企業への景気対策などとして国民の理解を得なければ成立は難しいのではないでしょうか。

このような思い切った政策には慎重論はつきものですが、個人的には面白い案であると思います。この不況を乗り越えるための議論は大いにしてもらいたいものです。

(税理士:中芝康仁)