「知」の結集 ゆびすいコラム

2010.02.10

生物多様性問題

温暖化ガスに続く国際問題として、「生物多様性」の問題が指摘されているようです。

しかし、生物多様性の問題について、去年政府が行ったアンケートでは、国民の62%が「知らない」と答え、24%が「言葉は知っているが、意味はわからない」と答えたそうです。

国民のほとんどがまだ知らない生物多様性問題ですが、1992年にはこの問題についての条約が交わされているようです。

まず、生物多様性とは何でしょうか? 簡潔に言うと、様々な種類の生物を守るためには、その生物が住む色々な自然を守る必要がある。なので、これらの多種な生物や環境を守ろうということです。

言い換えると、自然そのものを保全するということです。

それでは、なぜこれが問題なのでしょうか? 例えば、薬を開発するには、植物や昆虫、細菌、魚など多種にわたる生物の細胞などが使われています。

しかし、自然が破壊されれば、これらの薬を開発することができなくなり、機会を損なうことになります。

一方で、自然地帯への開発を制限すると、地元の人々は利益を失うことになります。

例えば、森を開発して施設を作れば儲かるかもしれませんから。

このように、双方の利益が反するため、問題なのです。

このような状況を解決するためある方法が条約で示されています。

それは、先進国が「お金を供給すること」です。

先進国も発展途上国も開発で利益を得たいのは同じです。

しかし、環境を破壊すれば、生物多様性問題に触れます。

そのため、先進国がお金を出し、破壊した分だけ他の場所に植林をしたりして、保全や再生に取り組みます。

そうすれば、環境も壊さずに、利益も受けられるということです。

これは、温暖化ガスの排出権取引に似ているものです。

温暖化ガスを出した分だけ、お金で排出権を買うという排出権取引と、考え方がすごく似ていると思われます。

生物多様性問題も、今後排出権取引のように注目され、ビジネスとなっていくかもしれません。

国際的な問題なので、日本も出遅れないようにしたいものです。

(上田純也)