親族の方で遺族年金を受給されている方はいらっしゃいませんか。
意外と知られていませんが、遺族基礎年金と遺族厚生年金に基づく遺族年金は所得税法上非課税とされていますので、
扶養控除の判定上、遺族年金は除いて判定することになっています。
扶養控除の要件は簡単にまとめると次のとおりです。
◆扶養控除の要件(扶養親族となるための要件)
その年の12月31日(死亡時にはその時)の現況で
・配偶者以外の16歳以上の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)等であること
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が38万円以下であること
・その年に事業専従者としての適用を受けないこと
このように扶養控除を適用する場合、扶養親族の合計所得金額は38万円以下である必要があり、
そのためには収入が次の金額以下でなければなりません。
・給与収入者:103万円
・65歳未満の公的年金収入者:108万円
・65歳以上の公的年金収入者:158万円
しかし、前述したように、この金額には非課税である遺族年金は含まれません。
したがって、例えば75歳の母親と同居(生計を一に)し、母親の公的年金収入が120万円、
遺族年金収入が100万円である場合には、公的年金収入の120万円(158万円以下)のみで
判定しますので、扶養控除を適用できるということになります。
扶養控除を適用できた場合には、次の金額を控除することができます。
◆扶養控除の控除額
①一般の扶養親族 : 38万円
②19歳以上23歳未満の扶養親族 : 63万円
③70歳以上の扶養親族で常に同居している父母・祖父母など : 58万円
④70歳以上の扶養親族で③以外の者 : 48万円
先ほどの例では、70歳以上の母と同居していますので58万円を控除することができ、
仮に扶養する方に適用される税率が20%であるとした場合には、116,000円の所得税が軽減されます。
扶養控除は扶養する方の担税力を考慮して優遇されている制度ですのでぜひ活用したいところです。
遺族年金を含めて判定されている方は、改めて適用の有無を確認してみてはいかがでしょうか。
大元 誠児