福利厚生の一環として、住宅補助を導入する企業も少なくないかと思います。
住宅の補助を行う際には、会社が社宅として借り上げるケースと住宅手当を支給するケースがありますが、それぞれで税務上の取り扱いが異なります。
●社宅として借り上げる場合
会社が負担した家賃は現物給与として取り扱われます。たたし、従業員から1ヶ月当たり一定金額(※)以上の家賃を徴収していれば、給与として課税する必要はありません。
※一定金額
① その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%
② その年度の土地の固定資産税の課税標準額×0.22%
③ 12円×その家屋の総床面積(㎡)/3.3(㎡)
④ ①~③の合計金額の50%以上
(「一定の金額」を計算する場合には、物件の固定資産税課税明細書の情報が必要になります。)
通常の物件であれば、5,000円~10,000円程度の金額になり、相場よりも比較的低い価額になる場合が多いです。
なお、社宅を貸与する場合に会社が家具を購入して無償で貸し付ける場合があります。この場合には経済的利益の供与になり、給与として課税する必要があります。
●住宅手当として支給する場合
毎月支払われる手当は「給与」と同じ扱いになります。基本給やその他の手当等と合算されて所得税や住民税が課されます。
なお、住宅手当は消費税の課税仕入れには該当しません。
借上社宅は所得税や住民税が課されないため、住宅手当と同じ金額を補助する場合でもメリットが大きいと考えられます。一方で会社は、徴収する賃料相当額の計算が必要であったり、貸主との契約手続等といった手間がかかります。
社宅と住宅手当のメリット・デメリットを考慮しながら、自社にふさわしい住宅補助を導入することが大切です。
石田 圭