「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.02.09

公益法人への寄附と確定申告

 今年も2月になり、さあ確定申告だ!と気合を入れる今日この頃ですが、ご依頼いただくお客様も、年に1度の確定申告に向けて、書類等の準備が大変な時期になりました。
 
 近年はふるさと納税やNISAなど、個人の所得税・住民税における節税や特典などを考えて行う方も多くなっていると思います。私の顧問先様も同様に考えていらっしゃる方が多いですが、従来からある寄付金控除を利用するため、社会福祉法人や学校法人などの寄附金の領収書や証明書を毎年お持ちくださる方もいらっしゃいます。
 
 本来「寄附」というのは、「金銭その他の財産を無償で寺社,学校,公共事業などに供与すること,又はこれを約束すること」とされ、民法上は贈与となります。これが、個人の場合、所得税法上規定されている寄附金に該当された場合、総所得金額又は所得税額(や住民税)から控除される制度です。
 
 公益法人への寄附金の場合、確定申告において重要なのは「公益法人へ寄附した事実」だけではなく、法律で規定されている「寄附金」に該当するかになります。つまり、すべての「寄附金」が所得税法上の寄付金控除の対象になるわけではありません。
 
 例えば、学校法人へ寄附を行った場合、学校法人からの寄附金の領収書のみでは寄附金控除を受けることができません。学校法人が所轄庁から「特定公益増進法人」の認可を受けている証明書の写しの添付が必要になります。これには一定の手続きが必要です。
 
 一方、社会福祉法人においては、社会福祉事業に定義されている事業に寄附した場合には、領収書の添付で寄付金控除を受けることができます。
 
 上記のように、同じ寄附金であっても税務上の取扱いが変わることがあります。寄附をされる方はもちろん、税金の事だけを考えて行うという方ばかりではありませんが、専門家の立場としては、少しでも税務上の優遇が受けられるようにできればと思っています。
 
 個人のお客様の場合、年に一度の確定申告が重要視されますが、1年を通して様々な選択や手続きによって、所得が同額であっても所得税額が変わっていきます。そのため、近年では個人のお客様も定期的にご相談いただき、所得税や住民税のみではなく、社会保険や年金、相続税、贈与税などの将来にわたる制度についても一緒に考えてく方が増えています。
 
 皆様の大事な資産を適正な納税によって、しっかり残していくことも大事にしていきたいですね。
 
 とはいえ、確定申告はこの時期だけになるので、税理士に頼まれる方もご自身で行う方も資料などをしっかり確認して遅滞なく行ってください。令和4年分の所得税は令和5年3月15日(水)が期限です。
 
福岡支店  大神裕司
 
 
税 金