「知」の結集 ゆびすいコラム

2023.12.04

処遇改善等加算の課題

平成27年導入の処遇改善等加算Ⅰを皮切りに、平成29年に処遇改善等加算Ⅱ、令和4年には処遇改善等加算Ⅲが導入されました。  その目的としては、人材の確保や質の向上、処遇の改善などが挙げられます。働き手には嬉しい制度かもしれませんが、法人にとっては難解な制度ではないでしょうか。
 
当コラムでは、難解が故に起こってしまった制度の課題をご紹介致します。
 
 
令和元年12月に会計検査院が行った「待機児童解消、子どもの貧困対策等の子ども・子育て支援対策に関する会計検査の結果について」では、処遇改善等加算の取扱いが適切であるか検査されました。(以下、会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書から引用)
 
【検査①(平成29年度)】
職員の賃金改善に充てられずに残額が生じていた保育所等
加算Ⅰ = 753/5,854施設 (12.8%)
加算Ⅱ = 1,724/4,804施設 (35.8%)
 
【検査②(平成29年度)】
残額の全部又は一部が翌年度においても職員の賃金改善に充てられていなかった保育所等
加算Ⅰ = 134/761施設 (17.6%)
加算Ⅱ = 253/1,730施設 (14.6%)
 
【検査③(平成29年度)】
《施設》
賃金改善総額が適切に算定されていなかった要因
・(44/62施設) 基準年度賃金総額に人件費の改定状況部分を加えていなかった
・(15/62施設) 基準年度賃金総額を基準年度当時の職員自身の賃金とするなどしていた
・(11/62施設) 基準年度と当年度の各種手当等の取扱いが区々となっていた
 
《市区町》
賃金改善総額が適切に算定できていなかったことを確認等できなかった理由
・(15/39市区町) 賃金改善総額の算定方法が複雑であり理解が十分でなかった
・(11/39市区町) 施設数が多いことなどから保育所等の算定が適切か確認していなかった
・(8/39市区町) 保育所等に対する算定方法等の周知が十分ではなかった
 
この結果から、制度を理解しきれていない施設があることや、残額が生じているかを実績報告書の提出時には認知できていなかったことも分かります。
また、難解な制度であるため、保育所等が適切に取扱えているかを確認できていなかった市区町もあるようです。
 
処遇改善等加算の制度は、法人自身で制度の取扱いが【合っているか】又は【間違っているか】を判断していただく必要がございます。
 
制度を理解し、働く方々の処遇をより良いものにしていただければと存じます。
 
 
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税理士法人ゆびすい 名古屋支店 加藤 芳和
 
 
教育・福祉事業