「知」の結集 ゆびすいコラム

2009.09.25

代替フロン問題

9月からエアコンの新製品には「家庭用エアコンには最大でCO2(温室効果ガス)3600?に相当するフロン類が封入されています」というシールが貼られています。

日本人は1日1人当たり6?のCO2を排出しています。なので、3600?は1年半分の排出量に相当します。

代替フロンとはHFC(ハイドロフルオロカーボン)のことで、エアコンを冷媒するために使われている物質です。これが、CO2の約2000倍の温室効果を持っているため、それを問題視してシールが貼られています。適切に廃棄されれば問題はないのですが、不適切だと強力な温暖化作用があります。

最近では、家電リサイクル法によってエアコンなどは小売店等を通じて廃棄しなければいけません。年間に約700万台のエアコンが販売されますが、実際に回収できているのは約200万台だそうです。回収率が低いのは、廃棄の際にお金を払う必要があるのが、1番の原因だと考えられます。

たいした罰則もないせいか、この法律はうまく機能していないのが現状のようです。家電を引き取って、金属だけを中国などに輸出する業者があることも問題視されているようです。

また、スーパーやコンビニなどのショーケースにもHFCが使われています。これらに使われているHFCは、家庭用エアコンよりもはるかに多いので、適正に処理されないと、温室効果もとても大きいです。しかし、このことを問題視していることは少なく、あまり知られてすらいない状況みたいです。

今、日本のメーカは協力して代替の冷媒を開発しているようですが、今のところはHFCを超えるものは開発されていないようです。

鳩山政権は2020年までに温室効果ガスを25%削減すると世界に向けて発表しましたが、これらの問題にも取り組むことが重要だと思われます。

いくらCO2を削減しても、さらに強力な温室効果ガスを無視しては効果が上がりません。幸い、この問題に関しては、空調機メーカーも協力的に取り組んでいるようです。しかし、国内では今回の温室効果ガス25%削減宣言を反対する企業が多いのも事実です。地球温暖化を阻止するため、いかに民間企業と協力できるかが課題となりそうですね。

(上田純也)