鍼治療は中国が発祥の地だそうで、漢方と共に医療として親しまれてきたそうです。しかし、中国の鍼治療は針の大きさが太く、刺し方によってはすごく痛いみたいです。
日本でも鍼治療は親しまれていますが、針は細く、痛みもあまり伴わないのが一般的です。私も以前、針治療を受けたことがありますが、痛みはなく、むしろ痛めていた部位の痛みが取れました。
現在の日本での鍼治療は「管鍼法」と呼ばれる方法で、江戸時代に考案されました。この管鍼法を考案した鍼の神様について、ご紹介します。
杉山和一は幼くして失明したが、自分は鍼術で身を立てようと、伊勢から江戸へ出た。しかし、のろまで物覚えが悪く、不器用な和一は鍼医には向いていなかった。いくら修行しても上達せず、ついに師匠に破門にされてしまう。
和一は悲しみ、思い悩んだ末、江の島の弁財天に断食をして、願をかけた。つまり、断食をして願いを叶えようとしたそうです。
ここからは俗説なので、根拠はないのですが、断食祈願をして8日後の朝、和一は石につまずいて倒れたそうです。その時、体に刺さるものがあったので、手に取ってみると、竹の筒で、中から松葉がでてきたそうです。
その瞬間、「管の中に針を入れて、それをツボに当ててから針をさす」という方法を思いついたそうです。
この方法を実践して、和一はメキメキ腕を上げて、ついには第5代将軍徳川綱吉の鍼治療を任されるようになったそうです。
この方法が現代にも受け継がれ、我々現代人の体を治療しています。
俗説ということで、どの程度本当なのかわかりませんが、いい話であることには違いありません。1つのことを一心不乱に追い求めたからこそ、大成功を収めたのでしょう。日本に名を残す偉人の1人といってもいいのではないでしょうか。
大失敗から大成功を収めた鍼の神様、杉山和一も2010年に生誕400年を迎えるそうです。
(上田純也)