「知」の結集 ゆびすいコラム

2012.09.05

次世代望遠鏡

 日本が作った最も大きな望遠鏡は何かご存知でしょうか?  それはハワイ島マウナケア山頂にある「すばる望遠鏡」です。

 宇宙のかなたにある天体の像を拡大する反射鏡の直径は8.2メートル。

 光が地球へ届くまでに長大な時間がかかるため、遠ければ遠いほど古い姿を観測できます。

 すばる望遠鏡は、137億年前に誕生した宇宙のうち129億年前の銀河までを観測することができます。

 これだけですばる望遠鏡のすごさが伝わると思いますが、このすばる望遠鏡を凌ぐ世界最大の望遠鏡の建設を計画されています。

 日本・米国・中国・カナダ・インドの5ヶ国は総額1,500億円を投じて、次世代の光学赤外線望遠鏡「TMT」の建設を予定しています。

   このTMTは反射鏡の直径が30メートルと現在世界最大級の米ケック望遠鏡の直径10メートルの3倍です。

 またすばると比較をしても、光を集める能力が13倍、解像度も4倍とはるかに上回っています。

 次世代望遠鏡では地球と太陽の距離の約200億倍離れた宇宙にある惑星を判別がすることができ、太陽系の外で地球に似た惑星や、宇宙を満たす正体不明の物質である「暗黒物質」を調べることができるとされています。

 次世代望遠鏡は2014年に着工、2021年での完成を目指しています。

 日本は1,500億円のうち375億円を負担することとなっており、その一部を文部科学省が2013年度予算案の概算要求に盛り込む方針です。

 科学に対する投資は数年前の事業仕分けでも取り上げられましたが、目先の見返りが少ないので今の日本ではなかなか厳しく感じます。

 ただ、未知のことを知ることができるかもしれないというのはとても素敵なことですね。

 (水野上 崇)