「知」の結集 ゆびすいコラム

2013.02.05

平成25年度税制改正大綱について

去る平成25年1月24日に平成25年度税制改正大綱が 公表されました。

緊急経済対策に係る税制と、来年4月に8%への税率引き上げ が予定されている消費税増税に向けた対策を重視した内容 となっています。

また、企業の設備投資や雇用拡大を促進するための新たな 税制の創設や、震災復興を支援するための税制上の措置、 住宅ローン減税の大幅拡充などが盛り込まれています。

以下に主要な改正項目と適用開始時期についてご案内します。

≪所得税≫  ○最高税率の引き上げ    課税所得4,000万円超については45%に    ⇒平成27年1月1日以後  ○上場株式等の配当等及び譲渡所得等にかかる   軽減税率の廃止   現在の軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)が廃止され   20%(所得税15%、住民税5%)に    ⇒平成26年1月1日以後  ○日本版ISAの開始   非課税口座内における100万円までの投資金額につき   その口座内から生じる配当所得及び譲渡所得が口座開設日   の属する年1月1日から5年間にわたって非課税となる。

   ⇒平成26年1月1日以後  ○住宅ローン減税の延長及び拡大   期間が平成29年12月末まで延長され、最大控除額が   400万円に拡充された(認定住宅等に該当する場合は   500万円)    ⇒平成26年1月1日以後 ≪法人税≫  ○設備投資促進税制の創設   青色申告法人で生産等設備投資額を前年度より10%超   増やした企業に対し、機械装置取得価額の30%の   特別償却又は3%の税額控除ができる制度を創設    ⇒平成25年4月1日~27年3月31日までの間に     開始する各事業年度  ○交際費の定額控除限度額の拡充   中小企業の交際費の定額控除限度額の600万円を   800万円に引き上げて、限度額の10%が損金不算入   となっていた措置を撤廃された(全額損金となる)    ⇒平成25年度からの1年間のみ  ○雇用促進税制の拡充、所得拡大促進税制の創設など    ⇒平成25年4月1日以後に開始する各事業年度 ≪相続税・贈与税≫  ○相続税 基礎控除の縮小と最高税率の引き上げ   現行の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」   を「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げ   るとともに最高税率を55%に引き上げる。

  また、直系尊属からの贈与についての新税率が創設   された。

   ⇒平成27年1月1日以後  ○贈与税 最高税率の引き上げと相続時精算課税制度の   適用要件の見直し   最高税率を相続税に合わせる一方で税率構造を緩和する。

  また、相続時精算課税制度の贈与者の年齢要件を60歳   以上に引き下げ、受贈者に孫が加えられた。

   ⇒平成27年1月1日以後  ○教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置   30歳未満の受贈者に対して直系尊属が行う教育資金の   贈与につき一定の要件を満たすものは、最大で   1,500万円まで贈与税が非課税となる。

   ⇒平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間  ○小規模宅地特例の拡充、事業承継税制の要件緩和    ⇒平成27年1月1日以後 ≪その他≫  ○印紙税の非課税   金銭又は有価証券の受取書のうち記載金額が   5万円未満(現行3万円未満)のものには印紙税を   課さないこととされた。

   ⇒平成26年4月1日以後に作成される受取書から  ○自動車取得税の段階的廃止   二段階で引き下げ。消費税10%の時点で完全廃止 以上のように、企業は減税・個人は富裕層への課税強化という 意図が明確に表れた改正となりました。

この他にニュース等で話題になった事柄として 生活必需品の消費税率を抑える軽減税率の導入がありますが これについては消費税10%段階での導入を「目指す」と されており、引き続き今後の動向を見守る必要がありそうです。

(森脇啓明)