去る平成25年1月24日に平成25年度税制改正大綱が
公表されました。
緊急経済対策に係る税制と、来年4月に8%への税率引き上げ
が予定されている消費税増税に向けた対策を重視した内容
となっています。
また、企業の設備投資や雇用拡大を促進するための新たな
税制の創設や、震災復興を支援するための税制上の措置、
住宅ローン減税の大幅拡充などが盛り込まれています。
以下に主要な改正項目と適用開始時期についてご案内します。
≪所得税≫
○最高税率の引き上げ
課税所得4,000万円超については45%に
⇒平成27年1月1日以後
○上場株式等の配当等及び譲渡所得等にかかる
軽減税率の廃止
現在の軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)が廃止され
20%(所得税15%、住民税5%)に
⇒平成26年1月1日以後
○日本版ISAの開始
非課税口座内における100万円までの投資金額につき
その口座内から生じる配当所得及び譲渡所得が口座開設日
の属する年1月1日から5年間にわたって非課税となる。
⇒平成26年1月1日以後
○住宅ローン減税の延長及び拡大
期間が平成29年12月末まで延長され、最大控除額が
400万円に拡充された(認定住宅等に該当する場合は
500万円)
⇒平成26年1月1日以後
≪法人税≫
○設備投資促進税制の創設
青色申告法人で生産等設備投資額を前年度より10%超
増やした企業に対し、機械装置取得価額の30%の
特別償却又は3%の税額控除ができる制度を創設
⇒平成25年4月1日~27年3月31日までの間に
開始する各事業年度
○交際費の定額控除限度額の拡充
中小企業の交際費の定額控除限度額の600万円を
800万円に引き上げて、限度額の10%が損金不算入
となっていた措置を撤廃された(全額損金となる)
⇒平成25年度からの1年間のみ
○雇用促進税制の拡充、所得拡大促進税制の創設など
⇒平成25年4月1日以後に開始する各事業年度
≪相続税・贈与税≫
○相続税 基礎控除の縮小と最高税率の引き上げ
現行の「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」
を「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げ
るとともに最高税率を55%に引き上げる。
また、直系尊属からの贈与についての新税率が創設
された。
⇒平成27年1月1日以後
○贈与税 最高税率の引き上げと相続時精算課税制度の
適用要件の見直し
最高税率を相続税に合わせる一方で税率構造を緩和する。
また、相続時精算課税制度の贈与者の年齢要件を60歳
以上に引き下げ、受贈者に孫が加えられた。
⇒平成27年1月1日以後
○教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
30歳未満の受贈者に対して直系尊属が行う教育資金の
贈与につき一定の要件を満たすものは、最大で
1,500万円まで贈与税が非課税となる。
⇒平成25年4月1日から平成27年12月31日までの間
○小規模宅地特例の拡充、事業承継税制の要件緩和
⇒平成27年1月1日以後
≪その他≫
○印紙税の非課税
金銭又は有価証券の受取書のうち記載金額が
5万円未満(現行3万円未満)のものには印紙税を
課さないこととされた。
⇒平成26年4月1日以後に作成される受取書から
○自動車取得税の段階的廃止
二段階で引き下げ。消費税10%の時点で完全廃止
以上のように、企業は減税・個人は富裕層への課税強化という
意図が明確に表れた改正となりました。
この他にニュース等で話題になった事柄として
生活必需品の消費税率を抑える軽減税率の導入がありますが
これについては消費税10%段階での導入を「目指す」と
されており、引き続き今後の動向を見守る必要がありそうです。
(森脇啓明)