「知」の結集 ゆびすいコラム

2019.04.10

教育資金贈与の改正

教育資金贈与の一括贈与とは、子ども又孫(ともに30歳未満に限る(以下、受贈者))に対して、
直系尊属(祖父母など(以下、贈与者))から教育資金に充てるために贈与した場合、1,500万円まで贈与税が非課税となります。
そして、受贈者が30歳になった時に、使用できなかった残額について、贈与税が課せられる制度になります。
 
改正前までは、受贈者の年齢制限および贈与者の直系尊属であることなどが要件でしたが、
平成31年度税制改正では、以下の要件の追加がされ、適用期限(令和3年3月31日まで)の延長がなされました。
 
(1) 受贈者の要件
教育資金贈与を行う前年の受贈者の合計所得が1,000万円以下であること
 
(2) 学校等以外で支払われる教育費
学校等以外で支払われる教育費とは、塾や習い事などに直接支払われる費用を指し、500万円までが非課税の対象となります。
受贈者が23歳に達した日以降に支払った場合、この費用(受贈者が教育訓練給付金対象となる教育訓練を受講費用は除く)は、
非課税の対象外とされました。
 
(3) 教育資金贈与を行ってから3年以内に贈与者が亡くなった場合
相続開始日における教育資金として使用していない残額を相続財産に足し戻し、相続税が課されることになります。
この残額は、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとしてみなされることになりました。
 
しかし、下記の方はこの適用の対象外となります。
① 受贈者が23歳未満
② 受贈者が学校等に在学している場合
③ 受贈者が教育訓練給付金対象となる教育訓練を受講している場合
 
(4) 受贈者が30歳に達した場合
30歳の時点で在学している方もいるため、30歳に達しても(3)②または③に該当する方は、贈与税が課されないこととなりました。
この場合、贈与税が課される時期は下記のいずれか早い方になります。
① 学校等を卒業または教育訓練が終了した年の12月31日
② 受贈者が40歳に達する日
 
改正された要件を適用される日は以下のとおりとなります。
(1) は平成31年4月1日より
(2) は令和元年7月1日より
(3) は平成31年4月1日より(平成31年3月31日以前に行われているものは除く)
(4) は令和元年7月1日以降に受贈者が30歳に達する場合
 
駆け込みで相続税対策として利用されてきた制度を規制する趣旨のものや(4)のように納税者にとって有利な改正なものもありました。
これから教育資金贈与を検討される方や既に教育資金贈与を利用されている方も、変更点を確認しておく必要があるのではないでしょうか。
 
岡林 知里
 
 
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