「知」の結集 ゆびすいコラム

2021.01.26

在宅手当×所得税

新型コロナウイルスの流行が始まって以降テレワークが推進されてきました。その結果、2020年におけるテレワーク率は25%(2019年比+10%)まで上昇したとのことです。テレワーク率の上昇に伴い今まで企業が負担していた通信費や光熱費等を各家庭が負担することとなったため一部の企業では当該費用を在宅勤務手当として支給しているようです。当該手当の課税関係は従前より議論されてきましたが、先日国税庁は「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」をホームページ上で公表し、業務使用部分の合理的な計算方法などを示しましたので以下ご紹介いたします。 
【Q&Aの内容】
支給する在宅勤務手当が実費相当額を精算する性質を有する場合は非課税となります。一方で毎月5000円など、概算により支給される場合は給与に該当し課税対象になるとのことです。なお、業務用と私用の区別が困難な電話料金やインターネット通信料、電気料金などにつきましても、実費精算の場合は非課税の対象となります。その場合は以下のような計算式により実費相当額を算出することとなります。
 
①電話料金・通信費に係る業務使用部分の計算方法
「従業員が負担した1ヵ月の基本使用料や通信料等×(その従業員の1ヵ月の在宅勤務日数/該当月の日数)×1/2」
 
②電気料金にかかる業務使用部分の計算方法
上記の算式に業務に使用した部屋の床面積割合が加わり、「従業員が負担した1ヵ月の基本料金や電気使用料×(業務のために使用した部屋の床面積/自宅の床面積)×(その従業員の1ヵ月の在宅勤務日数/該当月の日数)×1/2」 
 
なお、企業が従業員にパソコンなどの事務用品等を支給した場合におきましては、事務用品等の所有権の所在により判断することとなります。例えば企業が所有するパソコンを従業員に貸すのであれば給与として課税されませんが、そのパソコンが従業員のパソコンとなった場合には給与として課税されることとなります。またレンタルオフィスの使用料につきましては、1)従業員が在宅勤務に通常必要な費用としてレンタルオフィス代等を立替払いし、かつ、2)業務のために利用したものとして領収書等を企業に提出してその代金が精算されているものについては、従業員に対する給与として課税する必要はないとされています。
 
 【私見】
上記のように、在宅手当の支給に伴う課税関係について整理されましたが、実費相当額の清算となれば相当な手間となりそうなので概算による支給が主流となる気がします。その場合は、給与として源泉徴収が必要となりますので、ご注意ください。
 
大阪支店 野坂
 
 
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