「知」の結集 ゆびすいコラム

2022.06.09

公益目的事業の見直し

 今般の新型コロナ禍により、社会全体で従来当然に営まれていた活動が相当範囲で制限を受けています。新薬の開発と普及等によって「ビフォーコロナ」の生活が取り戻されるのか、流動的です。
 
公益社団法人・公益財団法人を運営されている皆様におかれましても、直近の1~2年は相当に活動が制限されたのではないでしょうか。
 元来、公益社団法人・公益財団法人が実施する公益目的事業は23種に限定され、かつ個々のチェックポイントを遵守して事業を実施されています。 統計的には、令和2年12月1日時点において国内の公益社団法人・公益財団法人が実施している公益事業の種類別では、学術・科学技術(1,636件)、文化及び芸術(1,598件)、教育・スポーツ(1,601件)、高齢者福祉(1,699件)、児童等健全育成(2,050件)となっており(内閣府公益認定等委員会:統計)、じつに教育文化、児童・高齢福祉関係で全体(20,607件)の41.6%を占めています。これらの事業はコロナ感染防止対策のために普及イベントの開催、情報の交換や発信機会の制限などで極めて活動を抑制されていると推察されます。
 収支規模的にも、全国の公益社団法人・公益財団法人のうち、公益目的事業費用が5千万未満の法人が43.9%、1憶円未満までを含めると56.3%と過半数を占めており、例えば年1回のイベントの開催の有無が法人の収支状況を左右している、といった状況ではないでしょうか。
 
 各法人が公益移行に際して申請し、現に実施している公益目的事業ではありますが、今般のコロナ対策による生活様式の変化に応じて柔軟なアップグレードを検討しなければならないでしょう。
 
 アップグレード、すなわち「公益目的事業の種類又は内容の変更(軽微は変更を除く)」や「公益目的事業の新規追加、廃止等の内容の変更」につきましては、所轄庁の「変更の認定」を受けなければなりません。この変更認定の申請に当たっては、法人内部の意思決定が必要となります。公益法人の活動は、関連する法人や同種団体などの意向を若干なりとも反映しているケースが散見されますが、公益法人に期待される社会的役割や、保有している技術的能力、あるいは人的・物的資源の規模や活動範囲を再考した上でより具体的な事業計画や予算編成が欠かせません。
 ちなみ予算の編成に際し、原則として公益法人は「収支相償」が求められていますが、ここにいう「収支相償」とは“中長期的”な収支の均衡を要求しているものです。例えば単年度の収入超過を“将来の公益目的事業の拡大”や、”公益目的に使用する建物等の修繕”など、目的を明確にした「特定費用準備資金」として積み立てることにより収支の均衡が認められれば、当該基準を充たすものとされています。
 
 このような所轄庁への認定申請や、予算の編成若しくは財務分析につきまして、当ゆびすいグループは各分野の専門家が連携して公益法人の皆様のご要望にお応えしております。ご要望や疑問などは全国の当グループ拠点へ是非お問い合わせください。
 
京都事業部 泉岡伸也
 
 
教育・福祉事業